市政の動き−議会・政策・見解
【23.01.10】11月議会最終日の討論
堀田信夫市議の討論
どうなる本庁舎(今沢町)跡活用
本庁舎の跡地活用は、一転、二転、三転で、基本構想に立ち返ったことは良いのですが、相変わらず「民間の活力を最大限」に固執し、事業者選定の業務委託予算が計上されました。「民間の活力を引き出す」ってことは、民間に土地を有償で貸与し、基本構想が想定している機能の展開を委ねることです。
民間に任せていいの?
基本構想が想定しているのは芝生や緑のオープンスペースに加えて、商業施設、文化・芸術・交流機能です。これらはおおよそ公共性が高く収益には程遠いものです。民間の事業者が借地料を支払って成しえるものか疑問が尽きません。事業者が興味を湧くのは商業施設であり、ここで帳尻を合わせることになるのではないでしょうか。それが市民等しく望むものとなるのか不安が尽きません。柳ケ瀬商店街への影響もぬぐい切れないところです。
地元は置いてきぼり
「民間の活力」といっても、地元事業者の育成につながるのか疑問です。
令和5年4月に高島屋南地区公共施設がオープンします。子どもの遊び場(ツナグテ)の運営は、プロポーザル公募の結果、東京の(株)丹青社です。契約金額は3年余で約3億円です。「民間の活力を引き出す」と大見えも大都会の事業者に食い物、地元事業者が置いてきぼりです。
時間軸を短期・中期から長期(30年〜50)と改めたのですから、「民間活力」についても見直すべきです。庁舎跡は市民みんなの財産です。市民が主役、ちょっと回り道でも、引き出すのは「市民みんなの知恵と力」です。
マイナンバーカード普及促進に関わる予算措置
政府が、国民1人ひとりに生涯変わらない12桁の番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにすること自体、プライバシー権侵害の危険大問題です。政府は、マイナンバーカードの健康保険証利用を促進するため、令和5年度から医療機関などにオンライン資格確認の導入を原則義務付け、「保険証の原則廃止を目指す」としています。
医療機関からは「マイナンバーカード保険証の紛失や漏洩が心配」「災害時の停電やシステムダウンの時は資格確認ができない」「コロナでそれどころではない」といった声が聞かれています。
令和6年度末には、運転免許証との一体化を目指し、民間ビジネスの様々な局面での利用などを進めるとともに、来年度は地方交付税算定に自治体ごとのカード普及率を反映させる考えも示しています。
自治体は国の出先機関ではありませんし、岐阜市が住民の自治組織である自治会に、普及率まで示し「交付税が削減されるかもしれません」と、泣きつくかの如く“カード普及のお手伝い”をさせていますが、自治会は役所の下請け機関ではありません。マイナンバーそのものの問題点もさることながら、国民が必要としない制度に固執し、カードを押し付けるやり方はやめるべきです。
110号議案
名は体を表すといいますが、名称が「個人情報保護条例」から「法施行条例」に代わります。
新たな条例では、「定義」関係の規定は、改定法が適用されることになることから、条例にありません。築いてきた個人情報保護制度の到達点が白紙にされます。
自治体ごとの特徴ある規定が「データー流通の支障」となるとして、「共通ルール化」「一元化」を狙った意図が、条文のイメージに表れています。
個人情報保護の目的は、「個人の尊厳」の確保に不可欠であり、「基本的人権の擁護」のはずですが、
国の個人情報保護法の目的では、「個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み」「個人の権利利益の保護」は、「個人情報の適正かつ効果的な活用」や「個人情報の有用性に配慮しつつ」おこなうものにしてしまっています。
個人情報保護法は、個人情報の活用を目的としています。
「匿名加工情報制度」は見送りましたが、「個人情報ファイル」マイナンバーに紐づけされる情報の流失、個人のプライバシーの侵害、地方自治の侵害、市民生活への影響、利益誘導、官民癒着のおそれが拭いきれないことから賛成できません。
尚、本日、この後「岐阜市議会の個人情報保護条例」案の提案があります。
改定法は、国会や裁判所とともに地方議会も対象としていません。
つまり、国の改定法施行のための条例ではありません。定義など改定法の規定をなぞっていますが、地方議会の「自律的な措置」であり、賛成の立場です。
120号議案
高島屋南地区公共施設建築工事の契約変更ですが、子どもの遊び場、健康運動施設がここに必要か、整備するなら民間活力でしょう。と、反対してきました。
建築工事も間もなく完了、現場建学の案内を受けております。
労務単価や、資材価格の高騰への対応は、あり得ることですが、契約変更は二度目となります。保留床取得に25億円、必要となってくる維持管理費年間 億円、を考えたら、規模、機能など仕様の変更という選択肢があっていい。
125号議案 127号議案 128号議案
市長はじめ特別職、市議会議員の手当引き上げの条例改正、その予算計上ですが、たいへんな物価高騰、市民が厳しい暮らしを強いられています。先憂後楽、遠慮すべきと考える。
請願8号
経済産業省の審議会は8日、原発の建て替えや運転期間延長などを進めることを盛り込んだ行動指針案を大筋了承しました。
現在の「原則40年・最大60年」という運転期間の規制は2011年3月の福島第一原発事故の後に設けられました。これを変更し「安全対策」などで停止していた期間は運転期間から除外できるとします。これによって60年を超えた運転に道が開かれます。原発設計時の耐用年数は40年、たとえ運転停止中であっても劣化します。柏崎刈羽原発7号機では、停止期間中に冷却用の海水配管の腐食が進行し、直径6センチの穴が開いていました。停止中のリスクを無視する仕組みは、新たな「安全神話」そのものです。
「次世代革新炉の開発・建設を進める」姿勢も鮮明にし、廃止が決まった炉を対象に建て替えるとしています。
岸田政権が昨年決定したエネルギー基本計画は「可能な限り原発依存度を低減」と記述し、首相も今年前半まで新増設・建て替えは「想定していない」と明言していました。7月の参院選挙の自民党の公約にも新増設・建て替えの言葉はありません。重大事故を起こせば国民の命を危険にさらし国土の破壊にもつながる原発政策を、国政選挙での審判を経ず、なし崩し的に転換することは、民主主義のあり方からしても問題です。
福島第一原発事故の被害はあまりに大きく、今も多くの人を苦しめています。
原発依存の政策を続けることは気候危機打開にとって急務となっている再生可能エネルギーの普及・拡大の妨げにもなります。
原発に依存しないエネルギー政策をもとめている請願の願意は妥当
採択を求めます。
大量の放射性物質が放出され、地域社会に甚大な被害をもたらし、自治体丸ごと避難など多くの人が避難を余儀なくされ、故郷を奪われました。原発が抱える危険性と事故被害の深刻さが明らかとなり「原発安全神話」は完全に崩壊しました。
2年近い(2013年9月〜2015年8月)「稼働原発ゼロ」も経験し、日本社会が原発なしでやっていけることも明らかになりました。そして、「稼働原発ゼロ」以降、エネルギー起源の二酸化炭素排出量は年々減ってきています。
再生可能エネルギーの電源には天候などにより出力が変動するものもありますが、各地で普及が進めば進むほど、さらに、太陽光、小水力、バイオマス、風力、地(熱といった多様なエネルギーの組み合わせで、変動がならされて安定します。
ところが、岸田内閣は、「第6次エネルギー基本計画」で、2030年度の発電量(9340億kW時)の20〜22%を原発で賄うと請願しています。(2020年度原発比4%)これは、規制基準審査未申請9基を除く27基(建設中2基含む)すべてを、2030年時点で運転期間40年を超える12基を含めて、フル稼働させるという、とんでもない計画です。